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◆第07回「どんな子どもさんにも受験はやってきます。そのときに必要なことは・・・」
黒沢正樹  

Mくんが始めて私の塾に来たのは、小学校5年のときだったと思います。
「かけ算の九九も出来ないんです・・・」
あどけない顔の男の子でしたが、学校に取り残された1人なんだと思い とにかくゆっくりやり直しましょうという言葉と共にMくんの受験勉強(今思えばあれから5年・・・)が始まりました。

とにかく記憶力が悪いというのか、何度やっても翌日になると、ほとんどすべてを忘れてしまっているというすごさ(というか、すさまじさ) 簡単な計算(整数の足し算、引き算)とかけざんの九九が
できるようになるのに中学に入学するまでの2年間が、かかってしまいました。

もちろん、分数などは、やってもやっても忘れてしまいます。
並行して、中学に入るために英語の基礎のアルファベットの練習をしましたがこれも、ほとんど意味のない 時間になるのかもしれないという不安を隠しながらというのが本音です。

そして、中学に入学。

勉強の内容は、想像以上に難しくなっていき、初めての中間テストで、数学以外は、2点、5点・・・(数学はなんとか25点ぐらい)もちろん順位は、学年で最下位という結果でした。

不真面目で出来ないという生徒は、たくさん見てきましたが、こんなにやっても出来ないというのは、初めてでした。
(知能の発達が遅れている、または、記憶する所に障害があるでは? こんな疑問を持ちながら、それでも、次はなんとかしようという繰り返しでまた1年と時間が過ぎていったのです)
母親とも、何度も面談をして、一度検査をしたほうがいいのでは?という事になりながら、親としては、現実を知る事を少しでも伸ばしたい、また、出来れば友達と一緒に普通の学校で勉強させたい、そんな思いから、 検査の時期が延びていったと思います。

僕の方は、1日30分毎日塾に来て、繰り返し勉強する方法 その他、ノートに宿題を書いて、家で同じ事を繰り返して もらう方法 とにかく一歩一歩できる事を何でもやりました。

そんな中で、いじめにあったり、お金をだまし取られたり・・・
学校で喧嘩をして、相手を傷つけたりと
勉強面以外においても、大変な事ばかりでした。

学校では、ほとんど見捨てられている状態で 何度も何度も「先生しか頼れる人はいません・・・
宜しくお願いします」と言われました。

何回テストを受けても、いつも学年最下位。 それでも、次は頑張ろうねと、また繰り返し同じ勉強を続けました。
中学3年になり、いよいよ受験ルートの計算、2次方程式、因数分解など、計算はかなりできるようになっていました。
ところが、英語の問題をやっていて I(英語の私)が読めない・・・ Youの次にisがくるかareがくるか分からない・・・
何千回やったんだ! あと50回ずつ書きなさい・・・ 毎日、こんな会話をしながら、夏休みが終わり、志望校を決める時期になったのです。

実は、このとき夏前に受けた検査の結果が出て やはり、記憶する部分の知能が極端に遅れているという事が分かりました。
やってもやっても覚えられない 医学的に、そういう結果が目の前にあったのです。 でも、何で因数分解が出来て、2次方程式が解けるんだろう・・・・?
こればっかりは、医者も首をかしげているようでした。

高校をどうするか?
ご両親と何度も話をしました。 僕は、彼は優しい子だから、パン屋さんとかそういう仕事が出来たらいいのではと、思ってました。
本人は、どっちでもいいような、でも学校に行きたいような・・・
彼にとって、どうしたら幸せに近づく事になるのかどうしたら、一番いい選択なのか誰にも分からないと思います。

ただ、いろいろな専門学校を探す中,そのほとんどが、高校卒業の資格が必要なのだという新しい発見もありました。 つまり、中卒では、専門学校にも行けない高校を卒業しなければ、社会に入れないという現状

そうこうしているうちに、2学期も終わる12月を迎えてました。 高校受験にとって、まず一番大きなハードルが内申です。
その3年の2学期の内申で、彼は「1」が4つありました。もちろん、その他は「2」です。 一般的な評価では、この成績では、私立高校は皆無です。
都立高校の工業の一番下、もしくは定時制高校はたして、そういう学校に行く事が、彼の幸せなのか?

僕としては、私立高校で、彼のような成績が悪い子でも細かく面倒を見てくれる学校を探しました。
今までいろいろお世話になった校長先生を何校も訪ねてお願いしました。が、やはり「1」が4つは、厳しいということで彼が行く高校が、見つかりません。
いくつか面接をお願いしましたが、どこもやはりだめでした。

どんどん追い込まれていく現状で、そのMくんも社会から否定されれいるような思いになっていくようなそんな不安がのしかかって、元気がなくっていくのが分かりました。

ただ、彼は、中学3年間、無遅刻無欠席、そして水泳部と卓球部でした。この事と、真面目だからという事で、 受けてくれるという学校が1つ見つかったのです。
埼玉県の私立のK高校でした。 その学校までは、1時間かかるんですが、世界でたった1つ、自分を受け入れてくれる学校という事で、彼も頑張って通いたいという気持ちになったようです。
推薦で受験するために、その高校の教頭先生に会いに、僕も一緒に行きました。(帰りの電車で、安心しながら寝ている彼の顔を母親と一緒に眺めました)

そして、合格発表です。

「・・・合格したよ!」
合格通知を見せに来てくれました。 極度の緊張が解けたのか、お腹が痛いと言って、30分トイレから出てきませんでした。
他の生徒達からも「Mくん、本当によかったね」と言われてました。

ただ、彼にとって、これはまた大変な3年間のスタートでこれからが、今まで以上に大変なんだと、僕は実感しています。
教師として、普通高校に進学させる事が、彼にとってベストな選択かどうかこれは、まだまだ先にならないと 分からないことだと思います。

どんな子どもさんにも、受験という壁がやってきます。
そして、その壁をどう乗り越えさせるかということが一番重要なことだと思います。
中学受験が適切な時期かどうか・・・
誰にもわかりません。

ただ、親子でその問題から逃げずに相談しあうことが大事ではないでしょうか?

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